重要無形文化財保持者(人間国宝)について

更新日:2025年08月27日

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国の重要無形文化財「髹漆」保持者(人間国宝)に林 曉さん(本市在住)が認定されます。

重要無形文化財名称

(工芸技術の部)

髹漆(きゅうしつ)
保持者氏名 林 曉(はやし さとる)

重要無形文化財「髹漆(きゅうしつ)」(工芸技術の部)の概要

  「髹漆」は、昭和49年4月20日に重要無形文化財に指定され、現在、保持者として小森邦博(こもりくにひろ)(雅号 小森邦衞(こもりくにえ))氏、増村紀一郎(ますむらきいちろう)氏が認定されている。

  髹漆は、漆を塗ることを主とする、漆芸(しつげい)の基本となる技法である。

素地(きじ)の造形に始まり、下地を経て、塗りやその仕上げに至る広い工程にわたり、各工程には多種の技術がある。素地の原材料は、木、竹、布、和紙、縄、皮など多様で、素地は、材の種類や作品の形に応じた技術で造形される。下地は、素地の材質や作品の形に応じた技術で施され、上塗(うわぬり)や仕上げにも、塗立(ぬりたて)や蠟色(ろいろ)仕上げなどの種類がある。

  漆芸の中で最も古い技法であり、現在では、立体的な造形と漆特有の塗肌や光沢を生かした制作が行われている。

  以上のように、髹漆は、芸術上価値が高く、工芸史上重要な地位を占める技法である。

保持者の概要

  林氏は、昭和29年に東京都に生まれ、東京芸術大学美術学部工芸科及び同学大学院美術研究科修士課程で田口善次郎(たぐちぜんじろう)((雅号 田口善国(たぐちよしくに))平成元年重要無形文化財「蒔絵(まきえ)」(各個認定)保持者)等から漆芸(しつげい)技法について幅広く指導を受けるとともに、増村成雄(ますむらなりお)((雅号 増村益城(ますむらましき))昭和53年重要無形文化財「髹漆」(各個認定)保持者)から髹漆を学んだ。その後、技法を研鑽しながら、表現に独自の創意工夫を加えて研究を重ね、髹漆の技法を高度に体得した。

  髹漆は、素地(きじ)の造形から下地を経て、上塗(うわぬり)や仕上げに至る幅広い工程にわたり、各工程には多種の技術がある。

 林氏の作品の特徴は、細部まで研ぎ澄まされた器形(きけい)である。林氏は、器形の追求のため、構想や初期工程に現代的な手段や機器を取り入れつつ、髹漆の各工程の技術を錬磨してきた。まず素地は、作品の形に応じて、雌型(めがた)等を用いる乾漆(かんしつ)、木地(きじ)、乾漆と木地の併用のいずれかを選択し、素地を作る段階で作品の形を厳密に決める。そして、独自に工夫した薄い下地を施して、素地の形を損なうことなく補強や痩せ止めを行う。その後、精緻で均一な塗りを重ね、複雑な曲面を蠟色(ろいろ)仕上げすることで、漆の色と艶によって器形の明快さを際立たせる。

  鋭敏な造形感覚に基づく器形の実現には、林氏の髹漆各工程に対する深い理解と技術の高さが不可欠であり、その作風と技量は高く評価されている。

  林氏は、日本伝統工芸展を中心に作品を発表しており、平成8年、第43回展で日本工芸会会長賞(優秀賞)、同21年の第56回展で文部科学大臣賞(優秀賞)を受賞した。さらに、平成22年には紫綬褒章を受章し、同29年には第20回岡田茂吉賞大賞を受賞した。

  また林氏は、長年、富山大学等において漆芸教育に尽力し多くの漆芸作家等を育て、日本伝統工芸展の鑑査委員を務めるなど、幅広く後進の指導・育成に尽力している。

  以上のように、林氏は、髹漆の制作技法を高度に正しく体得しており、かつ、これに精通している。

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