伝統的建造物の修理工程

更新日:2024年03月25日

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伝統的建造物の修理工程について、おおまかに説明します。

修理前

修理前の家屋を正面左側よりおさめた写真

後年の改造により下屋が切り取られ、前面がパラペットで覆ってあり、旧来の姿が見受けられなくなりました。

修理の際は、まず初めに、昔の図面や写真を確認するほか、柱などに残っている痕跡の調査等を行い、昔の建物の形を想定し、復原図を作成します。ただし、当初この建物を使用していた形態と現在の使用形態が異なる場合(例:以前「店舗」、現在「住居」等)もありますので、山町筋の伝統的な意匠等と照合し、可能な範囲で調整を行い、最終的な設計図を作成します。

1.屋根

屋根の土葺きの撤去作業をおさめた写真

既存の屋根瓦のほか、当時の防火対策として載せてあった土もあわせて撤去します。

瓦と土葺きが撤去されて下地が露出した屋根の写真

瓦、土が撤去された状態です。
このあと、下地材の張替え等がなされます。

屋根瓦の葺き替え工程の作業風景写真

防水用のルーフィングを設置した後、瓦を葺き直します。以前載せてあった土は、建物への加重が大きいため撤去します。

2.建物正面

パラペット撤去後の2階壁面の状態をおさめた写真

正面のパラペットを撤去した状態です。昔の壁面が一部残っていました。

2階壁面における竹小舞の敷設作業風景の写真

古い壁面に、そのまましっくいを塗ることができなかったので、下地の竹小舞からつくっています。

2階壁面・腕木におけるしっくい塗り工程の途中経過をおさめた写真

2階屋根の腕木部分や壁面にしっくいを塗ります。(下塗り・中塗り・上塗りの3工程)

下屋壁面における、しっくいの下塗り工程の作業風景写真

下屋が撤去されていたため、新設による復原を行います。
1階下屋・袖壁部分にしっくいを塗っています。(下塗り・中塗り・上塗りの3工程)

モルタルを用いて積み上げられる、下屋・防火壁のレンガ積み工程の途中経過をおさめた写真

1階下屋・袖壁部分の防火壁レンガを積み上げます。

玄関内部の内装写真。写真上部に揚げ戸が現存しているのが確認できる

玄関を建物の中から見ると、以前使用されていた「揚げ戸」が残されていたのが確認できます。

修理を終えて復元された、建物正面の揚げ戸の写真。写真右側には同じく修理されたレンガの防火壁も確認できる

1階建具を整備する際、この「揚げ戸」も復原しました。

3.妻面(建物の横側)

既存のトタンが撤去されて下地が露出した妻面の写真

トタンで覆ってあった壁面を撤去すると、昔の下地が出てきました。

妻面における竹小舞の敷設作業風景の写真

壁面の下地部分を竹小舞で仕上げ、しっくいを塗ります。

下見板が張られて行く、2階付近の妻面の写真

以前は、左側に隣家があったため、壁面は大谷石積みとしっくいの下地処理だけでした。現在は空地のため、下見板張りとしました

耐震処置を施して積み上げられる、妻面の大谷石積み工程の様子をおさめた写真

大谷石を積み上げます。地震等の際の落下防止のため金具を取り付けます。

完成

修理を終えて昔ながらの姿に復元された家屋を正面左側からおさめた写真

昔ながらの姿に復原されました。

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