市立保育所の民営化のガイドライン
社会福祉施設の運営に関する検討懇談会報告書により、保育所の民営化のガイドラインとする
(1) 民営化後の保育所のあり方
市民にとって利用しやすい保育所として、各種保育サービスや多様な保育内容が提供できるように、民営化後の保育所には、次のような役割・機能が求められる。
ア 児童の健やかな育ちと、家庭・地域の子育ての支援
保育サービスの質を低下させず、地域や利用者の信頼を得るとともに、家庭養育を補完して、児童の健やかな心身の発達を助長することや子育て家庭への相談・助言など地域の子育て支援の役割も期待される。
イ 多様な保育ニーズに対応した特別保育の充実
保育ニーズの多様化に対応し、延長保育、休日保育、一時保育など特別保育の充実を図り、仕事と子育ての両立を支援していくことが期待される。
ウ 地域に根ざした特色ある保育の展開
地域で子育てをしていくという意識や気運を醸成するとともに、地域の文化や環境に根ざし、地域住民との交流と連携の下で、人間性豊かな次世代育成をめざす、特色ある保育を展開していくことが期待される。
(2) 保育所民営化の手法
ア 設置・運営形態
市立保育所の民営化には、引受法人の自主性や運営に対する柔軟性を尊重し、多様な保育サービスが展開しやすいよう配慮しなければならない。このことから設置・運営形態は民設民営方式とすることとする。
イ 敷地
土地は、引受法人に対し無償または有償で貸与する。
ウ 建物
建物は、引受法人に対し無償または有償で譲渡する。所有権は引受法人に移管されるため、老朽化や定員増などに対応するために必要な改築、増築、大規模修繕等は、引受法人自らが行うこととする。
(3) 保育所民営化の留意点
保育所民営化の際には、入所児童や保護者への影響がないよう、従来の市の保育士と引き受け法人の保育士が合同で保育を行う引継ぎ期間を設け、スムーズな移管が行われるよう留意する必要がある。
また、保護者や地元自治会等関係者の理解と協力が十分に得られるように努めなければならない。
さらに、従来配置されていた市の職員に対しても、職員の身分に重大な変更が生じないよう配慮しなければならない。
(4) 民営化の対象となる保育所の選定基準
ア 保育所の規模的要件
定員
保育事業の運営を継続して安定したものとするため、相当規模(おおむね80人程度)以上の定員数の保育所であること。
入所児童数
今後も継続的に、おおむね現状程度の入所児童数が確保できる見込みのある保育所であること。
イ 保育所の地域的要件
保育所の地域性
当該保育所の位置する地域の就学前児童数が、著しく減少していないか、または今後も現状程度の児童数が見込まれるなど、地域の事情に配慮すること。
地域の特別保育の状況
多様な保育ニーズに対応したサービスの向上を図るため、当該地域内や近隣地域の延長保育、休日保育、一時保育等の特別保育の実施に配慮すること。
地域内の市・法人立保育所の割合
保護者が市立保育所と法人立保育所を自由に選択する余地を残すため、近隣地域を含んだ地域内に市立保育所と法人立保育所が並存するよう配慮すること。
ウ 敷地、建物の要件
敷地の要件
土地は市の所有財産であり、借地でないこと。また、多様な保育サービスに対応できるよう、将来的に増築可能な敷地を有すること。
建物の要件
残存耐用年数が20年以上であり、早期に改築や大規模修繕の必要がないこと。
ただし、残存耐用年数が20年末満であっても、改築や大規模修繕が見込まれる場合は対象とする。
(5) 民営化される保育所事業を実施する引受法人の要件
ア 法人の形態
社会福祉法人(新設予定法人を含む)、または、学校法人であること。
イ 法人の地域的要件
市内または高岡市に隣接する市町村において、事業を実施している法人であること。(新設予定法人を含む)
ウ 法人の事業実施姿勢
高岡市の保育行政を理解し、積極的に保育事業を実施する法人であること。
エ 法人の理事長及び施設長
理事長
児童福祉及び保育行政に対し、熱意と見識を有する者であること。
施設長
児童福祉施設において、主任保育士またはこれに相当する職に3年以上の勤務実績を有する者であること。
オ 法人の資産
基本財産
基本財産として1,000万円以上に相当する資産(現金、預金、有価証券または移管を受ける建物等を除く不動産)を有していること。
運用財産
運用財産として当該保育園の年間運営費の12分の1以上の現金または預金を有していること。
(6) 保育所民営化にあたり引受法人に付する条件
民営化の主たる目的は、多様化する保育ニーズに柔軟・迅速に対応し、サービスの質の維持向上を図ることにある。そのため、下記のとおり条件を付することとする。
- ア 多様な保育ニーズに対応するため、市が指定する延長保育、休日保育、一時保育、その他の特別保育事業を実施すること。
- イ 子育てサロン事業など、未就園の親子も含む地域の子育て家庭に対する支援に積極的に取り組むこと。
- ウ 関係法令等の基準に基づき、保育環境の維持向上が図られるよう、保育士の年齢構成や経験年数等を考慮したバランスのとれた職員配置を行うこと。
- エ 地域の子育て支援の拠点としての機能が発揮できるよう、地域の関係団体等との連携を図ること。
更新日:2024年03月25日