Vol.22 電力の「地産地消」と浅野総一郎

更新日:2026年03月09日

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電力の「地産地消」が動き出します。燃やせるごみの焼却で発生する熱を利用して発電した電力の余った分(余剰電力)が高岡市、氷見市、小矢部市の公共施設等で利用されるのです。

私はその連携協定締結式の場で、明治、大正時代に大活躍した実業家を思い浮かべました。氷見市出身の浅野総一郎さんです。「世の中に無駄なものは何もない」と考え、リサイクルをビジネスにした、日本を代表する実業家です。連携協定締結式が氷見市にある高岡広域エコ・クリーンセンターで行われたということもあり、浅野総一郎さんが私の脳裏をよぎったのです。

 

高岡広域エコ・クリーンセンターは、2014年10月から稼働し、高岡市、氷見市、小矢部市の年間約6万2000トンの燃やせるごみが集まっています。私たち3市が、高岡地区広域圏事務組合をつくってこの施設を運営しています。生活に直結する大事な広域行政です。

高岡広域エコ・クリーンセンターでは集められたごみを燃やして、年間約2500万キロワット時を発電しています。そのうち、施設内では使わない余剰電力の一部、約700万キロワット時を3市に供給するのです。富山県内では、富山地区広域圏事務組合と並んで初めての取り組みです。

 

高岡広域エコ・クリーンセンターで生じる余剰電力は、アーバンエナジー株式会社に売却されます。そして、アーバンエナジー株式会社は、その電力の一部を北陸電力株式会社に売却します。北陸電力株式会社から、3市の公共施設等に供給される仕組みです。

具体的には、3市の市役所本庁舎や文化施設等、合わせて36施設へ供給します。高岡市では、脱炭素先行地域の対象区域となっている中心市街地と福岡地域の金属工業団地の民間施設にも供給する予定です。

 

アーバンエナジー株式会社は、JFEエンジニアリング株式会社の子会社です。

JFEエンジニアリング株式会社は、日本鋼管株式会社及び川崎製鉄株式会社が共同して会社を設立、その後再編されて設立されました。

この日本鋼管株式会社の設立に深く関与したのが、冒頭でお伝えした氷見市出身の浅野総一郎さんなのです。

 

浅野総一郎さんは、時代の要請にあわせて、循環ビジネスを手掛けました。

文明開化の時代、日本は開国し、欧米人が日本に滞在することが多くなりました。

彼らの不満は、街灯がなく、日本が真っ暗だったことです。そこで、ガス灯の需要が急拡大しました。どんどんガス灯をつくっていくのですが、やっかいな問題も起きました。残留物が残ったのです。それがコークスです。石炭を炉の中で蒸し焼きにすると、ガスが発生するのですが、残留物としてコークスが残るのです。

浅野総一郎さんはこのコークスを大量に引き取り、セメント工場に売却したのです。

 

これにとどまりません。再利用で象徴的なのは、横浜に公衆便所をつくったことです。日本で初めて公衆便所をつくった男です。

これも文明開化の時代です。欧米人が多く横浜に滞在しましたが、便所がなく、町中で垂れ流され、社会問題となっていたのです。当時の神奈川県知事は、浅野総一郎さんに便所の設置をもちかけました。

浅野総一郎さんは、市内に63か所の公衆便所をつくったのです。くみ取った糞尿は、肥料に回し、巨額の利益を得ました。

 

のちに、セメント会社を経営し、さらには京浜工業地帯をつくった浅野総一郎さん。そのリサイクル精神は今も、脈々と受け継がれています。