Vol.16「あおいくま」と「堅い板」の教え
新年を迎えました。昨年7月に高岡市長に就任させていただいてから、半年ほどたちました。昨年は、市長として高岡市議会9月定例会、12月定例会に臨みました。慣れないことが多かったのですが、終始念頭にあったのは、「あ・お・い・く・ま」という言葉です。これは私の市長就任にあたり、早稲田大学のある先輩がプレゼントしてくれた言葉です。「市長に就任したのだから、『あ・お・い・く・ま』を肝に銘じてがんばってください」。この先輩に本当に感謝しております。
その先輩によると、「あせるな、おこるな、いばるな、くさるな、まけるな」この最初の文字をとって「あ・お・い・く・ま」というのです。市長としてこれを実践してほしいというのです。リーダーシップの要諦ですね。
「あせるな」。リーダーはあせってはいけないですね。あせると冷静な判断ができなくなります。「おこるな」も大事ですね。怒り、自分の感情をコントールするのは、リーダーにとって必須条件です。
「いばるな」というのも重要ですね。市長という仕事は大きな権限を持っています。周辺から「市長」「市長」と呼ばれます。知らず知らずのうちに、勘違いする可能性があります。だからこそ、謙虚な姿勢を貫くべきですね。私が市役所で市長と呼ばずに、「出町さん」と呼んでくださいというのも、自分への戒めです。
「くさるな」。思ったような結果が出ない時、落ち込むことがあります。ただ、それを他人のせいにせず、自分自身を反省するのが大切です。
「まけるな」というのは、単に相手との競争だけではありません。自分に負けるなという意味です。
私は市長就任以来、この「あ・お・い・く・ま」を心がけて仕事をしています。議論をしながら時には感情が高ぶるときもあります。その時は、「おこるな」と心の中でつぶやいています。また、時間がないと焦りそうなときもあります。「あせるな」。この「あ・お・い・く・ま」という言葉は、いろいろな局面で私を救ってくれます。
この言葉をプレゼントしてくれた先輩というのは、元北陸銀行頭取、高木繁雄さんです。高木さんも早稲田大学出身です。高木さんといえば、頭取として、業績を回復させたカリスマ経営者として知られています。
高木さんはまた、市長に就任した私に対して、一冊の本を推薦してくれました。マックス・ヴェーバーの名著「職業としての政治」です。
「市長としてこの本を読んでください」。
私自身、大学時代を含めて何度も読んだ本です。市長に就任してから、改めて読むと、新鮮でした。
その中でヴェーバーはこう指摘しています。
「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である」。
医療、公共交通、教育など、私が就任以来取り組んでいるのは、いずれも「堅い板」です。人口が減少し、社会が変貌している中、これまでのやり方では限界があります。挑戦が必要なのです。今年も引き続き「穴をくり、貫く」作業を続けます。
(引用文献)マックス・ヴェーバー著「職業としての政治」株式会社岩波書店,1980年初版,153ページ





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更新日:2026年01月08日