職員との対話はじめます-市長就任あいさつ-
職員の皆さま、おはようございます。高岡市長の出町 譲です。今日から皆さま方と一緒に働かせていただきます。どうぞよろしくお願いします。奇しくも、今日7月14日は、フランス革命の記念日です。フランスでは、1789年に絶対王政から共和制に変わったのです。当時のフランスでは、国民が変化を求めました。そして、今の高岡市でも市民はチェンジを求めたのです。
私は選挙戦では「市民との対話」を訴えてきました。市議会議員時代に市民対話集会を200回以上行い、市民との対話の重要性を認識したからです。これからは、市民との対話だけでなく、職員の皆さまとの対話に全力を尽くす考えです。気軽に私に話しかけてください。市長室のドアを開けておきますので、気軽にお立ちよりください。出町市長ではなく、出町さんと呼んでください。
それに訓示という言葉に違和感を覚えます。訓示というのは上から目線ですよね。私は、職員の皆さま、そして市民の皆さまと同じ目線で、市政を運営したいのです。市長の訓示というより、市長の思いとしてお聞きください。
職員の方には3つのお願いがあります。
1つ目は住民に寄り添うこと
2つ目はもっと情報公開すること
3つ目は挑戦すること
です。
最初は住民に寄り添うことです。市政にとって現在の最重要課題は、能登半島地震からの復旧・復興です。震災発生から1年7カ月経っていますが、多くの市民が生活再建や液状化で不安を抱いています。例えば、伏木では去年1年間で100世帯以上の方々が転居なさいました。私は地域コミュニティー崩壊の懸念を持っています。
私は発災翌日、1月2日の朝、伏木に入りました。その後、繰り返し訪れていますが、付近一帯公費解体され、更地となっています。そこにはもともと家があったのです。家族団らんしていた楽しい家だったのです。家の歴史があるのです。それが液状化に見舞われ、多くの方々は断腸の思いで家を解体しているのです。
私は困った人に寄り添うことこそが政治の要諦だと思っています。大学で政治学を学び、社会人になって以降、多くの政治家から、困った人、弱い立場の人に寄り添うことの大事さを学びました。日本の政治というのは、支えあいが基本なのです。
その意味で、市役所一丸となって、復旧・復興に力を入れなければなりません。私は、部長達と一緒に現場に出向き、震災で困っている方々の思いを聞きます。来月までに、伏木、吉久、横田の各地域を訪れます。その上で、具体的な支援策を検討します。市の幹部職員が全員で被災の現状を受け止め、復興の手立てを考えるのが重要です。
つぎは市民の皆さまにもっと情報公開をするべきだということです。
私たちは、市民の皆さまの税金をお預かりして、さまざまな事業を行っています。市民の皆さまは、物価高で厳しい生活を送りながらも、税金を支払っているのです。だからこそ透明性が必要なのです。開かれた行政が大事なのです。市民の皆さまの納得と共感なくしては、行政運営できないと私は思っています。
市政の情報をよりオープンにすべきだと私は思っています。市政の情報は市民のものなのです。原則として公開すべきものなのです。
議会での答弁なども、もっと市民の皆さまに分かりやすい言葉を使うべきです。行政用語、いわゆるお役所言葉を理解している市民はどれぐらいいるでしょうか。また、住民説明会ももっと開くべきだと、私は考えています。
最後に、職員の方には、果敢に挑戦していただきたい。
私は市職員の方々に敬意を表しています。高岡市民のことを考えて、研鑽なさっている姿勢を今後も続けて欲しいと切に願います。
ただ、時代は大きく変化しています。高岡市では、誰も経験しなかったような人口減少に見舞われています。それに伴い、公共施設、公共交通、医療、子育てなど、さまざまな側面で歪みが出ています。これまでの人口増加を前提にした市政運営はチェンジしなければならないのです。これまでの制度や前例にとらわれると、対応できなくなる恐れがあります。
令和の時代、新たな挑戦が必要です。「前例がないのでできない」という考え方を無くしてください。たとえ失敗しても、責任は私が取ります。市職員が変われば、地域が変わるのです。
ドイツの、哲学者ショーペンハウエルは、物事には成功するまで3段階あると指摘しています。第1段階は「人から笑いものにされる」第2段階は「激しい抵抗と反対に遭う」大抵の人はそれでやめてしまいます。
ここをじっとこらえて取組み続けると、状況は変化するのです。第3段階では「それまで笑い者にしたり反対したり人たちが、いつの間にか同調する」というのです。
最初は、笑いものにされたり、反対されたりしても、最終的には同調者が出てくるはずです。新たな挑戦とは勇気が必要なのです。皆さん、ぜひ挑戦してください。
私は長く経済記者をやっていましたが、1人ひとりの社員が挑戦する企業こそ、強い企業でした。「やってみなはれ」は、サントリーグループの創業者である鳥井信治郎氏の言葉ですが、私は高岡市も「やらんまいけ」の精神を広げたいのです。さて職員の皆さま、笑顔で「やらんまいけ」。皆さまの笑顔は、市民の笑顔につながります。
私は市長という重責を担わせていただくことになりましたが、完璧な人間ではありません。いろいろ不手際もあるかもしれません。ぜひとも、私に、どんどんご意見ください。政策、発言、髪型、眼鏡など、なんでもいいのです。職員の皆さまのご意見を聞きながら、私自身日々「チェンジ」してきます。
いろいろ言いましたが、一番言いたいのは皆さんの力が必要だということです。私一人の力では、何もできません。力を貸してください。お願いします。
更新日:2025年08月04日