令和4年高岡市議会9月定例会
令和4年高岡市議会9月定例会市長提案理由説明(抄)
- 市政の運営にあたって
- 提出議案について
市政の運営にあたって
提案理由の説明に入る前に、先月20日の夕方から行方不明になっていた、本市に住む2歳の保育園児 高嶋怜音くんが、今月4日、氷見漁港の沖合で発見されました。どうか無事に見つかって欲しいと祈る気持ちでおりましたが、残念ながら元気な姿でご家族の元へ帰ることはできませんでした。警察や消防はもとより、地域の方やボランティアの方など、大変多くの方が捜索活動に参加くださいましたが、このような結果となり、無念でなりません。ご家族のお気持ちを考えると胸が締め付けられる思いです。怜音くんのご冥福を心よりお祈りします。
はじめに
令和4年9月定例会の開会に当たり、提案理由の説明に先立ちまして、今後の市政運営に対する所信の一端を申し上げます。
この夏全国各地で相次いで発生した豪雨災害についてです。各地で被災された方々におかれましては心からお見舞い申し上げます。本市においても、先月4日の豪雨時には、降り続く大雨による土砂災害発生の危険性が高まったことを受け、五位山地区に「高齢者等避難」を発令し、避難所を開設しました。また、先月20日の豪雨では1時間降水量が50ミリを超え、床下浸水などの被害や、道路・鉄道などの交通網が影響を受けました。災害はいつ起きるかわかりません。日頃から災害へ備えることの重要性をしっかりと市民の皆様に伝えていくとともに、大切な市民の生命と財産を守るため、国土強靭化地域計画を着実に進めるなど、ハード・ソフトの両面から対策をとってまいります。また、災害が発生したとしても、応急対策及び復旧活動を速やかに実施できるよう、災害時相互応援協定を締結している自治体や近隣自治体、民間事業所等とのパートナーシップを強化してまいります。
さて、この夏、まちの賑わいと活気を取り戻すべく、高岡七夕まつりやリバーサイドフェスタ2022など、高岡の夏を彩る代表的なイベントが感染症対策を講じた上で開催されました。関係する各団体の皆様のご尽力により、歩行者天国の復活や3年ぶりのイベント開催など、多彩な催しを実施していただきました。また、終了後も今後の開催にむけた意見交換や実施会場の清掃が行われるなど、各団体の皆様それぞれが将来に渡ってまちの賑わいを継続させていこうという強い意思を感じたところです。
しかしながら、8月中旬以降、かつてないほど新型コロナウイルスの感染が急拡大しました。現在は、新規感染者数は減少傾向に転じているものの、まだ予断を許さない状況が続いています。そうした中、感染力が強いとされるオミクロン株に対応した新しいワクチンの追加接種について、本市としては希望される市民が確実に接種できるよう準備を進めてまいります。また、感染拡大防止への対策を充実させる一方で、昨日から一日当たりの入国者数の上限数が引き上げられるなど、国全体として日常の回復に向けた措置が進められる中、本市としても、国や県の動向を注視しながら、切れ目のない支援を的確に行ってまいります。
次に、「挑戦」をテーマにしたまちづくりについてです。
近年、中心市街地において、若い方々の出店や新規事業などへの挑戦も見られ、一部出店者からは「市の支援策が決め手となった」との大変嬉しい声も届いています。新たな挑戦を支援し、こうした流れを一層加速させていくため、まちなかスタートアップ支援事業を展開し、起業・創業に関する相談から起業後の経営相談までを伴走支援するとともに、全国的に課題となっている事業承継の支援も行ってまいります。また、これと並行して、御旅屋エリアでの定期マーケットの開催に対して支援を行うことで新たな人の流れをつくるとともに、スタートアップ支援事業で起業・創業した方々が活躍できる場を創ってまいります。新たな「挑戦」の誘発と、更なる「まちの賑わいの創出」を図ることはもとより、両事業の相乗効果により、中心市街地の新たな価値を生み出していきます。
次に、市民の皆様の関心が高い地域交通についてです。地域タクシーでは、かねてから実証運行を続けていた守山地区が、今月1日から本格運行に移りました。また、野村地区では利用者増を目指した実証運行の挑戦が続いています。更には、中田地区においては、住民の自家用車を活用した乗合交通「ノッカル」の、市内で初めての導入に向け、地元の皆様が調整を進めておられます。この他の地域においても、地域の移動ニーズを把握するための住民アンケートを実施するなどの動きもございます。こうした地域の挑戦を市としても精一杯支援し、高岡型コミュニティ交通の確立を目指してまいります。加えて、市長ホットラインをはじめ、多くの市民の方からご意見をいただいた高齢者運転免許自主返納支援事業では、運転に不安を感じている高齢者のドライバーが免許を返納した後も不安なく生活していけるよう、10月より支援サービスを拡充いたします。
さて、この2年余り、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、祭礼や地域行事の多くが中止や縮小となりました。このままでは、長年にわたって引き継がれてきた、獅子舞や神輿などの祭礼や、地域住民の絆を深めてきた納涼祭や住民運動会などの地域行事が途絶えてしまうとの不安の声を多くの方からいただきました。そこで、伝統を引き継ぎ、地域の繋がりを一層深めていただけるよう、感染症対策を講じて行う地域行事の開催や準備等に対し、支援を行ってまいります。また、地域の挑戦を支える施策の更なる展開として、新たに太田地区で地域おこし協力隊の方を採用し、来月より活動を始めていただく予定としております。ひとの力を活かし、地域が地域のことを主体的に考え、それを市役所がしっかりと下支えしていくことが、これからの共創のまちづくりの在り方だと考えています。各地域それぞれの主体的な取組みを全力でサポートしてまいります。
次に、カーボンニュートラルについては、単に二酸化炭素排出量を削減するだけではなく、快適な生活の実現、持続可能な事業構築や経済の好循環を生み出す好機として捉えていく必要があります。本市ではカーボンニュートラル実現に向けた実行計画の策定のため、民間事業者の方も含めた懇談会を先月設置したところであり、カーボンニュートラルによる「地域も暮らしも豊かになる社会」の構築を目指し、さまざまなアイデアや手法を幅広く取り入れてまいります。カーボンニュートラルの実現に向けては、市民や事業者の皆様の行動が重要であり、それぞれの立場で時代に適応した変革が必要となります。オール高岡で持続可能な未来を創っていくため、ぜひとも、ご理解とご協力を賜りたいと思います。そうした中、アルミニウムの資源循環に関する新たな研究開発施設が富山大学高岡キャンパス内で整備されます。本市の基幹産業であるアルミニウム産業の持続的な未来につながり、カーボンニュートラルにも寄与するアルミのリサイクルシステムの確立への挑戦を支援してまいります。
市政運営の基本姿勢について
長期的なビジョンとして掲げている「持続可能な未来都市 高岡」の実現に向けては、市民の命と財産が守られる「安定」を確保しつつ、市民による「挑戦」が生まれ続けていくことが重要です。今年度の当初予算は、「ひとの力」をテーマとする総合計画第4次基本計画のスタートとともに、市民が「挑戦」することができるまちづくりを進めるため、「挑戦を生み、挑戦を支える予算」として編成しました。先に述べたとおり、市民の皆様によるさまざまな「挑戦」が本市で生まれてきております。こうしてスタートし、芽吹いてきた、まちづくりの動きを着実に進めていくとともに、スピード感を持って、次の一歩を踏み出し、加速させていていくことが、高岡の更なる発展につながります。7月から8月にかけて実施したサマーレビューでは、将来に向けて、本市にとって何が必要であるかを真摯に考え、更には、収支均衡した財政運営を基本とし、これまで、さまざまな機会を通じていただいた市民の皆様の想いをどう形にしていくかという観点で、投資的事業の精査を行いました。これから令和5年度予算編成作業が本格化し、来月には、当初予算編成の方針を発表させていただく予定としています。しっかりと高岡を前へ進めるため、また、新たな「挑戦の種」を育むため、議員各位をはじめ広く市民のご意見を伺いながら予算編成作業を進めてまいります。
提出議案について
次に、ただいま上程されました予算議案4件、条例議案7件、その他議案3件、認定議案2件の計16件についてご説明申し上げます。
議案第67号から第70号は、一般会計及び特別会計の補正予算です。
補正予算の規模は、
- 一般会計 16億7,280万円の増額
- 特別会計 3億9,816万9千円の増額
- 総計 20億7,096万9千円の増額です。
今回の補正予算では、原油価格・物価高騰への対応として、給食材料費や燃料費への支援を行うほか、新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチンの接種体制を確保する一方で、地域経済活性化に向けた取組みや、地域行事実施への支援などを行います。また、民間や大学における、新たな挑戦に対して支援します。
以下、その主な内容について、ご説明申し上げます。
まず、物価高騰の影響により、食料品等の価格が上昇している中、小学校・中学校・義務教育学校・特別支援学校、保育所・認定こども園・幼稚園や、高齢者施設・障がい者施設において、保護者や利用者の負担を増やすことなく、栄養バランスや量を保った食事の提供を継続していくため、補助金の交付などの支援を行います。
次に、消費喚起による地域経済活性化の観点から、コロナ禍の影響が大きい飲食店を対象とした、キャッシュレス還元事業を実施いたします。
新型コロナウイルス感染症対策として、4回目ワクチンの接種対象者が医療従事者や高齢者施設等従事者に拡大されたことに加え、オミクロン株対応ワクチンの接種の実施に必要な経費を確保します。
併せて、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行の抑制を図るため、昨年度に引き続き、中学3年生までの児童・生徒へのインフルエンザ予防接種費用を助成するほか、今年度は新たに妊婦の方々への助成も行います。
また、アフターコロナを見据え、地域の絆を強め、地域の共助意識の向上を促進するため、コロナ禍で自粛・縮小した地域行事等について、コロナ対策を講じて行われる行事や、来年度の実施に向けた準備などに対し、補助金を交付します。
次に、まちづくりについては、御旅屋エリアの魅力を発信し、新たな人の流れを生み出すことにより、中心市街地での新規開業を促し、空き店舗の解消と賑わい創出を図ることを目的として、官民連携による、定期マーケットを開催します。
また、民間主導での新たなまちづくりの取組みとして、高岡市戸出東部土地区画整理事業が施行される見通しとなったことから、関連する事業に対しての支援を行います。
さらに、富山大学が高岡キャンパスに設置するアルミニウムの資源循環に関する新たな研究開発施設の整備費の一部を支援することで、本市の基幹産業であるアルミニウム産業の振興を促進してまいります。
そのほか、今後、学校再編や消防庁舎整備など、投資的事業が集中する期間が見込まれるため、市債の発行を抑制する観点から、令和3年度の決算剰余金の一部を公共施設等整備改修基金に積み立てます。
続きまして、議案第71号から第80号までの条例その他議案について申し上げます。
条例議案につきましては、道の駅の効率的かつ柔軟な運営によるさらなる利用促進を図るため、開館時間の弾力化等を行う高岡市道の駅条例の一部を改正する条例など、7件を提案しております。
その他議案につきましては、令和3年度高岡市水道事業会計未処分利益剰余金の処分など、3件を提案しております。
認定議案につきましては、令和3年度の本市企業会計に係る決算、並びに一般会計及び特別会計の歳入歳出決算を、監査委員の審査意見書を添えて認定に付するものです。
以上、提出いたしました諸案件についてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議の上、よろしくご賛同賜りますようお願い申し上げます。
更新日:2024年03月25日