令和3年高岡市議会3月定例会
第一 市政の運営にあたって
一 はじめに
令和三年三月定例会の開会にあたり、私の市政運営に対する所信の一端を申し述べます。あわせて、本日提出いたしました令和三年度予算並びに条例その他の議案について、その概要をご説明申し上げ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
まず初めに、今月、東日本大震災の発生から十年を迎える中、先月発生した福島県沖の地震では、改めて自然災害の恐ろしさを再認識させられました。被害に遭われた方々に対して、心からお見舞いを申し上げます。今回の被害が早期に復旧され、一日も早く元の生活に戻られるとともに、東日本大地震からの復興が着実に図られることをお祈り申し上げます。今回の地震では、コロナ禍への十分な対策が求められる中、避難所の運営における感染症対策など、これまで得られた教訓が随所に生かされたものと存じます。
また今冬は、本市をはじめ北陸地方では記録的な大雪に見舞われ、除排雪に全力を尽くしたところであります。一部で交通機関がマヒするなど、市民生活や地域経済に重大な影響が生じました。これらの状況を検証しながら、市民の安全・安心を最優先に、様々な災害への備えに万全を期してまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
三大都市圏を中心に発出されていた「緊急事態宣言」は、先週、一部地域で先行解除され、残る首都圏を含む四都県についても今月七日の解除に向け、調整が進められております。県内の感染者数は比較的落ち着いて推移しており、先月十五日には、新型コロナウイルス感染症対策の警戒レベルが、「ステージ1」に引き下げられたところであります。これに伴い、県では、「地元で泊まろう!県民割引キャンペーン」や「Go To Eatキャンペーン」の食事券の新規発行を再開されました。本市としてもこれらと連動して地域経済の回復に資する取り組みを進めてまいります。
市内では、一月に感染者数が増加し緊張いたしましたが、二月以降は落ち着いている状況と考えられております。家庭内での感染も見受けられるなど、まだまだ予断を許さない状況であり、今一度、感染の拡大防止の大切さを再認識し、行動に移していくことが重要であると存じます。
さらに現在、医療従事者へのワクチン接種事業が進められております。ワクチン接種は、新型コロナウイルス感染症対策の要となるものであります。本市では、既にワクチン接種事業実施本部を設置し、国の指示のもと県や医師会等と連携しながら、高齢者をはじめとする市民へのワクチン接種が円滑に実施できるよう準備を進めております。今後、人の往来が増える年度替わりの時期を迎えることから、これまでの感染予防対策の徹底のお願いと併せて、引き続き、市民の安全・安心を最優先に対応してまいりたいと存じます。
次に経済情勢についてであります。
先月、内閣府が発表した十月から十二月の第三・四半期の国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で前期比約十二・七%増と二期連続で大幅な伸びとなりました。しかしながら、現下の状況は、「年末からの新型コロナの感染拡大や緊急事態宣言の発出を受け、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる」とされています。また、県内の景気については、「一部に足踏みがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある」とされております。業態によって景気の回復状況は異なるものと伺われ、国や県と連携しながらきめ細かく目配りする必要があると存じます。
こうした経済情勢を踏まえ、国では、昨年十二月に新たな総合経済対策をとりまとめ、新型コロナウイルスの感染拡大防止や、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災など国土強靭化の推進などに取り組むとされました。これを受け、国の令和三年度予算では、令和二年度三次補正と合わせた十五か月予算とし、国民の命と生活を守るとともに、将来を切り拓くためのデジタルトランスフォーメーションへの投資を促進する措置など、中長期的な課題を見据え編成されたところであります。本市としても、国や県の動きと連動し、引き続き新型コロナウイルスの感染防止対策に万全を期すとともに、安全・安心な市民生活の確保や、一刻も早い企業業績の回復を図る経済対策、防災・減災対策などに取り組んでまいります。
二 市政運営の基本姿勢
市政運営にあたっての基本姿勢について申し上げます。
財政健全化については、令和三年度予算において、事務事業の見直しや歳入の確保などにより七億円を超える収支改善を達成し、財政健全化緊急プログラムにおいて必要な改善額は、残すところ五・二億円となりました。プログラムに掲げる各目標も、計画期間中の達成が見通せるところとなり、未だ改善が必要な公債費関連につきましても、将来の市債発行額の抑制に備えた基金の設置を本定例会に提案するなど、プログラムの実現に概ね目途を立てることができたものと考えております。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響による市税収入の減少など、市財政を取り巻く環境は未だ厳しい状況にあります。引き続き、気を緩めることなく、将来に向かって持続可能な財政構造を確立できるよう、財政の健全化を推進してまいります。
これまで本市では、総合計画基本構想において「市民創造都市高岡」の実現を掲げて、「まち」「ひと」「しごと」を柱とする地方創生を折り込み、人口減少社会であっても持続可能な社会を創造するための取り組みを戦略的に進めてまいりました。
令和三年度は、これらの取り組みの指針としてきた総合計画第三次基本計画の最終年度であると同時に、産業、歴史・文化など、本市の強みを構成する主要計画や、第二期となる「とやま呉西圏域連携中枢都市圏ビジョン」がスタートする年であります。これまで進めてきたまちづくりの成果の上に立ち、ポストコロナ時代という次のステージへ向けての一歩を踏み出す年であり、令和四年度以降の新たな指針となる総合計画第四次基本計画の策定を進めてまいる所存であります。
一方、昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大により、本市も市民生活や社会活動、経済活動など様々な面において大きな影響を受けております。市民、事業者、地域、行政など様々な活動主体が、それぞれの活動の在り方を見直し、あらゆる分野、場面で、今までの行動を変革していくことが求められております。これらを踏まえ、令和三年度では、コロナ禍から脱却した後のポストコロナ時代を見据えて、新しい変革の時代への道筋をつけ、「都市の強み」と「まちの魅力」を活かした市政運営に力を注いでまいります。現在策定中の第四次基本計画の視点である、市民や地域による「ひとの力」に焦点をあて、「次世代から共感を得られるまちづくり」を推進してまいります。
三 当面する重要課題
それでは、当面する市政の重要課題について申し上げます。
はじめに、経済の好循環の回復、まちの賑わい創出であります。
経済の好循環の回復については、令和三年度は、本市経済の基盤を支える商工・観光・農林水産業など各分野において、新たな計画のスタートを切る年度になります。第二期産業振興ビジョンでは、本市産業の持続的な発展を目指すため、産業基盤を担う「ひとづくり」及び次代に事業を「つなぐ力」の強化を図ることとし、特に事業承継や後継者の確保などに重点的に取り組んでまいります。また、第三期農林水産業振興プランでは、農林水産業の持続的な発展を目指し、新規就農者や後継者を育成するほか、六次産業化・スマート農業などへの積極的な投資を支援してまいります。
まちの賑わい創出については、これまで取り組んできた御旅屋セリオの機能を強化し、セリオを核として、その周辺を含めた賑わいの拡がりに取り組むことが重要であります。このため、高岡駅前東地区においては、令和五年度の完成に向けて着手された新たな民間複合ビルの建設事業を支援してまいります。御旅屋通りでは、ローカル5Gなどの最新技術を活かした賑わい創出事業が進められております。今月には、eスポーツ大会や、携帯用アプリによる「御旅屋VR映像」が公開され、これを契機としたイベントの開催が予定されております。時代を先取るこれらの民間主導によるまちづくりを市としても支援し、まちの活性化、賑わいづくりを図ってまいります。またこれまで、中心市街地活性化基本計画を三期にわたり推進してまいりました。これまでの取り組みを検証し、第四期計画を策定してまいります。
また、観光・交流の分野では、「まちの活力を観光が生み出す」という考えのもと、ポストコロナに向け、新高岡駅を起点とした観光商品の開発を行うなど、第三期観光振興ビジョンにおいて、「ひと」を取り組みの軸として地域資源を活かした魅力あるまちづくりや広域観光の推進、もてなしの環境づくりなどの観光まちづくりの取り組みを展開してまいります。
次に、次代を担うひとの育成についてであります。
本市学校教育の一層の充実を図る「今後十年を見据えた高岡市における小中学校の配置」に則って、五位中学校区の統合小学校の建築工事に着手するとともに、高岡西部中学校区・高陵中学校区の小中一貫校の調査・基本設計を実施いたします。市民の皆様とともに様々な議論を重ねてきた「高岡百年の大計」というべき教育改革がいよいよ本格的に姿を見せてまいります。また、GIGAスクール構想に基づいて、学習専用端末の全児童生徒への配備が完了し、順次、運用を始めております。国内のみならず海外ともつながる環境を活かしながら、教育分野のデジタルトランスフォーメーションを推進し、「創造性豊かで自ら考え、行動する児童生徒」の育成を進めてまいります。また、二月に開催した総合教育会議で決定した「人生百年時代にあって、地域の絆でコロナ禍を乗り越えるこれからの市立公民館の運営について」を踏まえ、三十六の市立公民館において、市民主体の新しい運営の仕組みも工夫しながら、市民が主役の身近なコミュニティ拠点づくりを推進してまいります。
また、祭礼行事、芸術文化活動などを守り、育てる活動を支援してまいります。昨年は、コロナ禍で活動に大きく制限を受けた中でも、様々な工夫を重ねられ、活動が継続されてきました。感染症や大きな災害は、現代の流れを加速させるといわれております。守るべき本質を守り、時代の潮流を受け止め、変化することに勇気をもって挑戦していく、そのような創造的な活動を支援し、市民の皆様のエネルギーを高め、想いが実現するよう努めてまいります。また、伝統産業においても、職人とクリエーターの連携や大学など高等教育機関との協働を推進するなど、地域の課題解決に挑戦する創造的な人材の育成を支援してまいります。
次に、市民が主役の地域づくりについてであります。
現在、策定作業を進めている総合計画第四次基本計画では、市民や地域による「ひとの力」に焦点を当てております。人口減少や少子高齢化が進む中、地域で行われる人々の多様な活動を維持・活性化するためには、地域活動組織の再構築が必要であると考え、地域の方々が自ら考え、自ら行動し、多機能な地域自治を担う仕組みづくりや運営を支援してまいります。また、若者の意見をまちづくりへ反映し応援する仕組みづくりを行うほか、呉西圏域の取り組み、大学などと連携した取り組みにより、まちづくり人材を育成するとともに、地域おこし協力隊の活動を積極的に拡充してまいります。これらの活動を通じて地域の魅力の発信や関係人口の創出によるコミュニティの維持・活性化を推進してまいります。
最後に、新たな時代の潮流であるデジタルトランスフォーメーションの推進についてであります。
昨年末、国では、「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を策定し、国を挙げてデジタルトランスフォーメーションを推進することとされました。また、一月に開催された県と県内市町村で構成するワンチームとやま連携推進本部会議においても「自治体行政のデジタル化」に連携して取り組むことを確認したところであります。
本市としても、幅広くこれらの新しい潮流を受け止め、デジタル技術やデータの活用により、業務のあり方から変革していくため、新年度から情報政策を担う部署を新たに設置し、全庁的な推進体制のもと、行政のデジタル化を進めてまいります。また、情報化推進基本方針・アクションプランを改訂して、社会全体で新たな価値を創出していく環境を整えることを通じ、市民一人ひとりのニーズに応じたサービスが提供される社会を実現してまいりたいと存じます。
第二 令和三年度予算の概要
それでは、令和三年度予算編成の基本方針、歳出予算及び施策の概要、歳入予算の概要について申し上げます。
一 令和三年度予算編成の基本方針
最初に、令和三年度予算編成の基本方針について申し上げます。
令和三年度の予算編成につきましては、財政健全化緊急プログラムを通じて持続可能な行財政運営を構築することを念頭に、コロナ禍からの脱却に向けた安全・安心な市民生活の確保、「都市の強み」を活かした経済循環の回復や、「まちの魅力」の向上と更なる活用・発信、次代を担う「ひとの育成」などを中心に取り組むことといたしました。さらにデジタルトランスフォーメーションやSDGsなどの新たな時代の潮流を取り込みつつ、持続可能な仕組みづくりを加速する「ポストコロナ時代の『未来に繋ぐ高岡新機軸』事業」を積極的に盛り込んでおります。
これらを通じ、新しい変革の時代への道筋をつけるための「次代を拓く変革予算」として令和三年度予算を編成したところであります。
この基本方針のもとに予算を編成した結果、
令和三年度の予算規模は、
- 一般会計においては、六百六十三億二千八百八十六万円
- 特別会計は、十会計の合計で六百五十一億三千七百五十六万三千円
- 総計では、千三百十四億六千六百四十二万三千円
となりました。前年度と比較すると、一般会計では前年度を〇・四パーセント上回り、特別会計を含めた総計では、前年度と比べて一・〇パーセントの増加となっております。
更に、国の三次補正と呼応して、二月に議決いただいた補正予算と後日追加提案させていただく令和二年度補正予算とを合わせて十五カ月予算として編成し、新型コロナウイルス感染症対策や安全・安心のまちづくりを強力に推し進めてまいります。
二 歳出予算及び施策の概要
続きまして、令和三年度主要施策の概要について、総合計画に掲げた「めざすまちの姿」に沿って、その主な内容をご説明申し上げます。
地域産業
(1) ものづくり産業が時代の流れに対応し、活性化している
第一の『ものづくり産業が時代の流れに対応し、活性化している』まちについて申し上げます。
まず、「新たな事業活動の創出」につきましては、「ひとづくり」や「デジタル化」などに重点を置き、事業承継に伴う新事業展開や電子商取引、いわゆるEC(Electronic Commerce)等を活用した販路開拓、IoT(Internet of Things)の導入による事業効率化等を総合的に支援する新たな補助制度を創設いたします。また、金融機関をはじめとした支援機関と連携して首都圏からものづくりの担い手・人材を呼び込み、市内企業の事業承継と移住・定住の促進を図ってまいります。
「地域産業の競争力強化」につきましては、地場産業の魅力発信を促進するため、御旅屋セリオの高岡地域地場産業センター内に開設したオンライン取引をサポートするスタジオ「ST@R-ZIBA(スタジーバ)」の運営を支援いたします。
「産業基盤の整備・企業立地の推進」につきましては、企業進出の受け皿となる新たな産業団地の整備検討のため、適地調査を実施いたします。また、コロナ禍にもかかわらず更なる効率化や売り上げ拡大に取り組む企業を後押しするため、生産性向上に資する設備投資を支援いたします。
「中小・小規模企業の経営基盤強化」につきましては、事業承継を促進するため、国の信用保証制度と連動した保証料補給を行うほか、新型コロナウイルス感染症による影響を考慮し、商工会議所及び商工会等と連携した利子補給制度を実施いたします。
(2) 水・緑・食が豊かで暮らしにうるおいがある
次に、第二の『水・緑・食が豊かで暮らしにうるおいがある』まちについて申し上げます。
まず、「農業の持続的発展」につきましては、引き続き農道や農業用排水路などの農業生産基盤の整備を推進するほか、担い手を確保し、持続可能な農業を実現するため、新規就農や法人化、経営継承を支援いたします。また、高岡産農産物を活用した更なる高付加価値化や販路拡大を支援いたします。
「農山村の振興」につきましては、中山間地域等の棚田等での農業や地域活動を支援するほか、近年増加している有害鳥獣対策として、放任果樹の除去やイノシシの解体、処分に係る費用を支援いたします。
「林業の振興」につきましては、森林環境譲与税を活用して、民有林の保全・維持管理と効率的な林業経営に向けた意向調査と森林整備を実施いたします。
歴史・文化
(3) 世代を超えて受け継がれてきた歴史資産が大切に継承され、輝いている
次に、第三の『世代を超えて受け継がれてきた歴史資産が大切に継承され、輝いている』まちについて申し上げます。
まず、「文化財の保存・活用」につきましては、四月に平成の大修理が完了する勝興寺の宝物展や北陸の工芸産地が連携して実施する「GO FOR KOGEI展覧会」の勝興寺開催を支援いたします。また、重要伝統的建造物群保存地区の建物等への修理・修景支援を拡充するほか、新たに選定された吉久においてまち歩きマップの制作を支援いたします。富山銀行から譲り受けた赤レンガの建物については、耐震診断の結果を踏まえ、建物の補強や利活用の方針を検討し、保存活用計画を策定いたします。
「歴史的風致の保全・活用」につきましては、歴史文化資産の文化的価値の向上と魅力発信のため、越中国分寺ゆかりの仏像調査や高岡城跡の調査研究を実施いたします。また、新型コロナウイルス感染症に対応した指定文化財等の祭礼行事を支援いたします。
(4) 暮らしの中に万葉と前田家ゆかりの文化が息づいている
次に、第四の『暮らしの中に万葉と前田家ゆかりの文化が息づいている』まちについて申し上げます。
「地域に根ざした創造的な芸術・文化活動の育成」につきましては、万葉歴史館を誰もが気軽に万葉集を楽しめる施設へ転換するため改修を行い、四月から常設展示室を、秋には企画展示室を供用開始いたします。また、本市の芸術・文化エネルギーの維持向上のため、高岡の歴史文化資産を舞台とした市内アーティストのパフォーマンス動画を制作し、オンラインにより配信してまいります。
交流・観光
(5) 高岡の魅力を積極的に発信し、たくさんの人が訪れるようになっている
次に、第五の『高岡の魅力を積極的に発信し、たくさんの人が訪れるようになっている』まちについて申し上げます。
まず、「観光資源の発掘と保存・活用」につきましては、ポストコロナ時代を見据え、引き続き、祭り・イベント行事や密を避けた市内の会議室利用を支援するほか、とやま・ふくおか家族旅行村廃止後の施設の活用を民間事業者に任せ、その創意工夫により、観光資源としての活用や地域活性化を図ってまいります。
「イメージアップ・誘致活動の強化」につきましては、新高岡駅を利用する旅行商品の造成や飛越能を周遊する高速バスの乗車割引、小規模なツアー催行を支援するとともに、個人旅行客向けにコロナ禍におけるマイクロツーリズムの促進に取り組んでまいります。また、引き続きふるさと納税の返礼品に地場産品を活用し、高岡の魅力を全国に発信いたします。
(6) 生活の利便性が向上し、市街地に人が行き交いにぎわっている
次に、第六の『生活の利便性が向上し、市街地に人が行き交いにぎわっている』まちについて申し上げます。
まず、「商業・サービス業の振興」につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けている飲食店を応援するため、飲食店向けのキャッシュレスポイント還元キャンペーンを実施いたします。
「中心市街地活性化の推進」につきましては、商業機能の集積とエリアの魅力向上のため、コロナ禍にもかかわらず中心市街地や観光地での空き店舗等を活用して新規開業する事業者への支援を拡充するほか、令和四年度からの次期中心市街地活性化基本計画を策定いたします。
「市街地の整備」につきましては、高岡駅前東地区の賑わい創出のため、民間によるマンション等の整備事業に対して支援いたします。
「住宅・宅地の整備」につきましては、市営住宅について計画的な住戸改善を進め、施設の長寿命化を図ってまいります。また、定住人口の増加に向け、まちなか及び居住誘導区域での住宅取得や改修の費用を支援するほか、呉西圏域への移住を推進するため、オンラインによるセミナーを開催いたします。
「良好な都市景観の創出」につきましては、新たに歴史的建築物の保存活用に関して検討・助言などを行う専門委員会を設置し、本市固有の歴史的な街並みの保全と新たな用途の活用を促進してまいります。
(7) 交通ネットワークを活かし、県西部の中核的役割を果たしている
次に、第七の『交通ネットワークを活かし、県西部の中核的役割を果たしている』まちについて申し上げます。
まず、「高岡駅・新高岡駅の周辺整備」につきましては、JR城端線・氷見線について、県と沿線市とともにLRT化の検討・調査を進めるほか、福岡駅へのエレベーター設置に向け、駅周辺のバリアフリー構想を策定いたします。
「高速道路網・幹線道路網・地域公共交通体系の整備」につきましては、新高岡駅周辺の交通利便性の向上を図るため、京田踏切の立体交差化について、まず暫定二車線で供用開始を目指すとともに、将来の全体四車線の完成に向け、引き続き整備を進めてまいります。また、持続可能な公共交通の実現に向け、路線バスの利用実態調査を行うとともに、新たに地域における交通需要の把握や運行ルートの検討等を支援し、市民協働型公共交通システムの導入促進に努めてまいります。
「港湾の整備・活用」につきましては、新型コロナウイルス感染症対策を実施しながら、伏木万葉ふ頭でのクルーズ船歓迎行事を開催するほか、市内観光地を組み入れたバスツアーや給水費用に対する補助などによりクルーズ船の誘致に努めてまいります。
子育て・教育
(8) 安心と希望、ゆとりを持って子育てを楽しんでいる
次に、第八の『安心と希望、ゆとりを持って子育てを楽しんでいる』まちについて申し上げます。
まず、「教育・保育の一体的提供の推進とサービスの充実」につきましては、私立保育所や私立認定こども園の受け入れ体制の充実を図るほか、延長保育や病児保育の実施園を拡充し、多様な保育需要に対応してまいります。
「安心して妊娠・出産・子育てができる体制の充実」につきましては、出産後の母子に対する心身のケアや育児サポートを行う産後ケア事業の利用期間を拡大するほか、新たに家事代行サービスの利用を支援いたします。
(9) 教育を通じて個性を磨き、生きる力を高め合っている
次に、第九の『教育を通じて個性を磨き、生きる力を高め合っている』まちについて申し上げます。
まず、「確かな学力・豊かな心・健やかな体をはぐくむ教育の推進」につきましては、子どもたちの学びのデジタル化を推進するため、学習専用端末等を最大限に活用できるよう、小・中・義務教育学校にICT支援員を配置するほか、新たにパブリッククラウドを活用した校務支援システムの構築に向け、基本設計を行ってまいります。
「教育効果を高める教育環境の充実」につきましては、令和二年度に開校した国吉義務教育学校の施設改修を行うとともに、五位中学校区の統合小学校の造成工事、校舎の建築工事を進めてまいります。さらに、高陵中学校区及び高岡西部中学校区について、小中一貫校整備に向け、調査・設計に着手いたします。また、老朽化した戸出中学校グラウンドを令和四年度にかけて改修し、排水機能を改善いたします。
(10) いくつになっても興味のあることを気軽に学べている
次に、第十の『いくつになっても興味のあることを気軽に学べている』まちについて申し上げます。
まず、「ライフステージに応じた生涯学習の振興」につきましては、本市の歴史都市としての魅力発信を図るため、新たに図書館の歴史資料のデジタル化とウェブ上でのアーカイブ公開に取り組みます。また、旧石堤小学校に石堤公民館を移転するための改修工事を実施いたします。
「未来を担う世代の育成と若者が主体となるまちづくりの推進」につきましては、金融機関と連携し、デジタル掲示板を活用して若者の意見を行政や企業活動の課題解決等に活かしてまいります。
(11) いつでも気軽にスポーツを楽しんでいる
次に、第十一の『いつでも気軽にスポーツを楽しんでいる』まちについて申し上げます。
「生涯スポーツ活動の充実」につきましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に際し、新型コロナウイルス感染症対策を実施しながら、ホストタウンとしてポーランドレスリングチームの代表選手の直前合宿を受け入れるとともに、本市ゆかりの選手やポーランド選手をパブリックビューイングで応援したいと存じます。また、全国高等学校総合体育大会のバドミントン競技を本市において実施いたします。
安全・安心
(12) 誰もが生き生きと自立して暮らしている
次に、第十二の『誰もが生き生きと自立して暮らしている』まちについて申し上げます。
まず、「障がい者・障がい児福祉・自立支援対策の充実」につきましては、障がい者への理解促進のため、小学校での特別授業を実施するほか、相談支援事業所へアドバイザーを派遣いたします。また、離職者等への住居確保支援金について、新型コロナウイルス感染症感染拡大を踏まえて要件が緩和・拡大されたことに伴い大幅に増額いたします。
「高齢者福祉の充実」につきましては、健康講座やリハビリ専門職による個別指導など、通いの場での健康づくりや介護予防活動を充実させるとともに、新たにケーブルテレビを活用した自宅でのフレイル予防対策を実施いたします。
(13) 健康的な生活を送り、必要な時に適切な医療を受けられる
次に、第十三の『健康的な生活を送り、必要な時に適切な医療を受けられる』まちについて申し上げます。
「医療体制・医療制度の充実」につきましては、高岡市民病院において、出産時の安全で落ち着いた環境を確保するため、病室及び分娩室を改修いたします。
(14) 地域の人々の手で環境が守られている
次に、第十四の『地域の人々の手で環境が守られている』まちについて申し上げます。
「環境保全対策の充実」につきましては、新たに高岡駅前周辺のカラス対策として、音声機器等による誘導・捕獲実験を行ってまいります。
(15) 安全で快適な生活を送っている
次に、第十五の『安全で快適な生活を送っている』まちについて申し上げます。
まず、「防災対策の充実」につきましては、移動系防災行政無線について、新しい電波規格に適合させるため、設備を更新いたします。また、洪水ハザードマップの普及と避難行動支援のため、対象地域の電柱や建物壁面に洪水時の浸水の深さを示す表示板を設置いたします。
「消防・救急・救助体制の充実」につきましては、令和三年度から氷見市と消防広域化を開始し、市境周辺の現場到着時間の短縮や部隊数の増加による出動態勢の強化など効果的・効率的な消防体制を確立してまいります。また、老朽化した消防本部・高岡消防署庁舎改築のための基本設計を行うほか、保守期間の終了に伴い、消防救急デジタル無線設備を改修いたします。
「道路整備、交通安全・防犯対策の充実」につきましては、道路橋の老朽化に対応するため、計画的な更新・修繕等を進めるほか、道路維持管理の民間委託により持続可能な道路の安全確保体制を構築いたします。
「緑化の推進と保全」につきましては、令和四年度からの次期グリーンプランを策定いたします。また、おとぎの森公園内の「森の橋」について、長寿命化のための改修工事を行ってまいります。
「雪対策の充実」につきましては、一月の大雪で損傷した道路、公園、学校施設の復旧に必要な額を上積みし、安全確保に努めてまいります。
「上・下水道の整備」につきましては、「上下水道ビジョン」に基づき、水道事業では老朽管の更新を進めるとともに、国吉配水場内における送配水管の耐震化に着手するなど、災害に強い水道を目指してまいります。また、上下水道料金の徴収等を包括的に民間委託し、官民連携を推進しながら経営基盤の強化に努めてまいります。下水道事業では、公共下水道や雨水管の整備、ストックマネジメント計画に基づく管渠の更新・耐震化に取り組んでまいります。
(16) その人らしさが尊重され、お互いに助け合いながら幸せに暮らしている
次に、第十六の『その人らしさが尊重され、お互いに助け合いながら幸せに暮らしている』まちについて申し上げます。
まず、「市民が主役の地域づくりへの支援」につきましては、多様な地域課題を解決する持続可能な体制を構築するため、地区連絡センター施設運営業務等を包括的に地元へ委託し、地域の事務局機能の強化を図ります。併せて地域活動組織の法人化や再編等に取り組む団体を支援するとともに、寄附型クラウドファンディングを活用し、市民の皆様のまちづくりのアイディアの実現を応援いたします。また、新型コロナウイルス感染症の影響により縮小・自粛を余儀なくされた地域活動の再開を支援するほか、新しい生活様式への対応と市民の皆様の利便性向上のため、コンビニエンスストアでの住民票などの交付手数料を引き下げます。そのほか、主に山村振興を目的に地域おこし協力隊を増員いたします。
「多文化共生社会の推進」につきましては、令和四年度からの次期多文化共生プランを策定いたします。
「男女平等・共同参画社会の実現」につきましては、令和四年度からの男女平等推進プラン後期事業計画及びDV対策基本計画を策定いたします。
(17) 市役所が市民に信頼され、責任を持って取り組んでいる
次に、第十七の『市役所が市民に信頼され、責任を持って取り組んでいる』まちについて申し上げます。
まず、「高度情報化の推進」につきましては、令和三年度で計画期間が終了する情報化推進基本方針・アクションプランを改訂いたします。
「簡素で効率的な行財政の推進」につきましては、公共施設のセグメント分析を実施し、各施設の課題抽出、改善点の洗い出しを行い、管理費用の縮減に繋げてまいります。事務効率の向上のため、電子入札システムを県内自治体と共同で利用するシステムに更新し、運用費用の軽減を図るとともに、財務会計システムに電子決裁機能を追加し、ペーパーレス化と迅速化を図ってまいります。税・公金収納におけるキャッシュレス化を進め、納税者等の利便性の向上を図るため、市税や上下水道料金等についてスマートフォン決済を開始するほか、その他の公金も含めウェブ上で口座振替申込ができるシステムの導入を進めてまいります。
最後に、令和四年度からスタートする総合計画第四次基本計画を策定するとともに、SDGsの推進員を育成し、その理念を本市の施策に取り入れてまいります。
三 歳入予算の概要
次に、歳入予算のうち、主なものについてご説明申し上げます。
まず、市税収入につきましては、新型コロナウイルス感染症による地域経済への影響や土地・家屋の評価替えのほか、税制改正の影響などを踏まえ、二百四十億三千六百七十六万六千円を計上しております。
地方交付税につきましては、地方財政計画において、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等の減収が見込まれる中で、地方が行政サービスを安定的に提供しつつ、防災・減災や地方創生の推進などの地域の重要課題に取り組めるよう、前年度を上回る地方交付税総額を確保することとされました。これらを踏まえ、合併算定替による特例の終了等を考慮して試算した結果、微減を見込んでおります。
また、各種交付金等につきましては、新たに新型コロナウイルス感染症対策に関連して固定資産税に臨時的な軽減措置が講じられたことに対する補てんとして、見合いの特別交付金を見込んでおります。このほか、地方財政計画等に基づき、それぞれ見込み額を計上しております。
国庫支出金及び県支出金につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめ、事業内容、事業採択の見通しなどを踏まえ、それぞれの事業に見合った額を計上しております。
市債につきましては、地方財政計画に基づき、臨時財政対策債の発行額を見込むとともに、事業債と合わせて財政健全化緊急プログラムに掲げた年間発行額七十五億円以内を堅持しております。早期の財政健全化を図るため、今後も引き続き、市債残高の減少に努めてまいります。
四 組織体制
行政組織につきましては、新たな行政課題や多様化する市民ニーズに即応した施策を展開し、円滑に遂行できる簡素で効率的な組織機構の構築を図ってまいります。主なものとしては、福岡総合行政センター及び福岡教育行政センターの廃止に伴う組織再編として、引き続き地域住民の生活に密接する行政サービスを維持し、福岡地域や中山間地域の交流・振興を行うため、市民生活部に福岡支所を、産業振興部に地域振興交流課を設置いたします。あわせて、引き続き福岡駅前土地区画整理事業の推進を図るため、都市創造部に福岡駅前土地区画整理推進室を設置いたします。また、行政事務のデジタル化等の推進における全庁的な体制整備のため、市長政策部に新たに情報政策課を設置いたします。福祉保健部においては地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズや複合事案、困窮事案への総合的なサポート体制を強化するため、社会福祉課内に福祉連携推進室を設置いたします。教育委員会においては高岡の歴史や文化を再構築し、文化財の保存・活用を重点的に図るため、文化財業務を独立させて新たに文化財保護活用課を設置いたします。また、人生百年時代にあって生涯学習や生涯スポーツを一体的に推進するため、生涯学習部門とスポーツ課を生涯学習・スポーツ課として再編いたします。
この他、埋立処分場の一部民間委託や廃棄物処理業務をはじめ事務事業執行体制の見直しを図り、職員数の適正化を進めます。
これらの措置により、令和三年度当初の職員数は、前年度当初から六人減員の千七百五十六人を予定しております。
第三 条例その他
次に、条例その他議案について申し上げます。
条例議案につきましては、公共施設等整備改修基金の新規条例のほか、介護サービスの人員、運営及び設備基準の関係省令の改正に伴う高岡市指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準等に関する条例等の一部を改正する条例など、三十二件を提案しております。
その他議案につきましては、漁村センターの地元自治会への譲与など七件を提案しております。
以上、令和三年度予算をはじめ、提出いたしました諸案件について、その概要をご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、よろしくご賛同賜りますようお願い申し上げます。
更新日:2024年03月25日