令和6年高岡市議会12月定例会
令和6年高岡市議会12月定例会市長提案理由説明
- 第一 市政の運営にあたって
- 第二 提出議案について
第一 市政の運営にあたって
一 はじめに
令和6年12月定例会の開会に当たり、提案理由の説明に先立ちまして、今後の市政運営に対する所信の一端を申し上げます。
令和6年能登半島地震から間もなく1年が経過しようとしています。この間、本市では1日も早い復旧・復興を目指して取組を進めてまいりました。
そのような中、11月26日夜に石川県西方沖を震源とする最大震度5弱の地震が発生し、本市においても震度4が観測されました。地震発生後、直ちに災害警戒本部を立ち上げるとともに、1月の地震で被害のあった地区を中心に、市民生活を支える道路、上下水道等のパトロールや点検にあたりました。
今回の地震では、幸いにも大きな被害はありませんでしたが、改めて市民の皆様には、災害はいつ起きるかわからないとの考えのもと、平時から備えを行うなど、まずは自身の命は自身で守るという行動をお願い申し上げます。
震災からの復旧・復興に向けた取組に関しては、9月末に本市の液状化対策に関する中間報告を行いました。液状化の被害が大きかった地区においては、現在さらに詳細な追加調査を行っており、それぞれの地区に適した有効な対策や工法等を検討し、対応にあたってまいります。
また、下水道等のインフラ復旧工事を効率的に進めていくため、10月より工事区間沿線の方々の工事期間中の仮住まいとして、市独自に復旧工事推進住宅を準備するとともに、デジマップ@高岡でも、災害復旧工事情報を広く発信しながら、震災からの復旧・復興を最優先に進めております。工事エリアの方々をはじめ、市民の皆様にはご不便をおかけいたしますが、復旧作業へのご理解とご協力をお願い申し上げます。
公費解体につきましては、解体事業者のご協力をいただきながら着実に作業を進めております。被災された方の中には、解体や応急修繕等の対応についてまだ迷っておられる方もいらっしゃることから、公費解体の申請期間を令和7年3月末まで延長いたしました。対象となる方々には引き続き丁寧に制度のご案内を行い、大切な住宅と向き合っていただけるよう努めてまいります。
被災者の方々が一日も早くそれぞれの日常を取り戻し、心穏やかに過ごせるよう、引き続き全庁を挙げて復旧・復興に取り組んでまいります。
復旧・復興に向けた動きを進める中、伏木地区においては、10月に地域の若手の皆さんの発案による「伏木ごったまつり2024」が開催されました。このイベントは震災からの復興を願い、地域を元気づけるために実施されたもので、若者の挑戦を後押しするため本市が創設した「高岡市若者地域活動支援補助金」をご活用いただいております。各地域の若い世代の皆様には、ぜひとも本制度を活用し、地域の新たな担い手として、地元に活力を生み出すべく、ご活躍いただきたいと思います。
また、同地区では被災された事業者の方が「賑わい集積開業等支援事業補助金」を活用し、近隣の物件に店舗を移転するなどして営業を再開されております。こうした動きが、地域の復興に向けた明るい兆しとなることを期待しています。
10月に衆議院議員総選挙、富山県知事選挙、県議会議員補欠選挙が執り行われました。
富山県選出国会議員としては、橘慶一郎衆議院議員が引き続き内閣官房副長官にご就任されました。国政の中枢にあって、これまでの経験を活かされ、より一層ご活躍されることをご祈念申し上げるとともに、政策の大きな転換点にある今こそ、地方創生に向けて高岡市を導いていただきたくお願いを申し上げます。
また、再選されました新田知事をはじめ、この秋の各選挙で当選されました近隣自治体の市長や県議会議員の方々とは、引き続き人口減少社会の中においても持続可能なまちづくりに向け、互いに連携を図りながら様々な取組を推進してまいります。
さて、10月1日から開催している「北陸デスティネーションキャンペーン・北陸DC」については、本市の観光施設でご利用いただける共通クーポンの販売数が前年同月比で約3倍となったほか、民間旅行会社と連携した宿泊割引クーポンについても、1カ月半で発行予定数に達するなど、多くの反響をいただいております。JRや旅行代理店など関係機関の方々のご尽力により、北陸、そして高岡への注目度や関心が高まっているものと受け止めております。
北陸DCを推進するにあたり、旅行者が観光しやすく、高岡を周遊しやすい環境を整えるため、10月に高岡市観光ポータルサイト「たかおか道しるべ」を「高岡観光ナビ」として全面リニューアルいたしました。スマートフォン版ページには、GPSを用いて現在地から近い観光スポットやグルメを検索できる「旅ナカ専用ボタン」を設けるなど、これまでにない取組に挑戦し、来訪者に広く高岡を楽しんでいただけるよう心がけたところです。
好調な推移をしている北陸DCの終了後も見据えつつ、引き続き戦略的に稼ぐ観光を推進するために、11月には、地元目線で取材・撮影を行い、「高岡観光ナビ」において本市の魅力を伝える記事を継続的に発信する「高岡ナビライター」の募集を開始いたしました。
今後も、来年3月の北陸新幹線開業10周年や来年度の新市誕生20周年といった機会に、一人でも多くの方に高岡を訪れていただけるよう、関連事業者等と連携した本市や県西部、飛越能の魅力向上やPRを通じ、さらなる観光誘客につなげてまいります。
二 市政運営の基本姿勢について
少子高齢化や人口減少の時代において、まちの未来を担うこどもをまんなかに据えた施策を推進すべく、現在「(仮称)高岡市こども計画」の策定を進めております。
「こどもまんなか」の社会づくりに向け、本市では保護者の就労状況に関わらず保育所等にこどもを預けられる「こども誰でも通園制度」の試行的事業を、富山県内で初めて開始いたしました。10月の募集開始以降、こどもに集団生活を経験させたい等の理由により、これまでに15件の申請をいただいております。令和8年度からの本格実施に向け、保護者の需要や運用上の課題について分析し、ニーズに応じた支援に向け取組を進めてまいります。
おとぎの森公園においては、現在こどもや子育て世代が過ごしやすい環境づくりのため、本市では初となるPark-PFIを活用した、民間事業者によるベビーファーストをコンセプトとする飲食施設の整備が進められております。また、本市においてもこれまで市民ニーズの高かった駐車場の拡張に伴う周辺の広場の改修工事を進めております。
こどもを生み育てやすい環境を整えることは、未来への重要な投資であります。こどもがふるさと高岡に愛着を持ち、自分の未来に夢や希望を持って成長できる社会の実現に向け、こども施策をさらに推進してまいります。
さらなる交流拡大に向けては、山町筋にある旧高岡共立銀行、いわゆる赤レンガの建物について、文化財的価値の保存と交流拡大につながる機能との両立を図るため、利活用事業を展開する民間事業者をプロポーザル方式で広く公募しておりましたが、先月末に、その事業を行う優先交渉権者を決定いたしました。
いただいた提案では、既存建物の外観を維持しつつ耐震補強のうえ改修し、1階部分は地産の食材を使用したレストランやテイクアウトショップ、2階と3階部分はレストランの個室とホテルの客室にするほか、隣接地にはホテル棟を増築する内容となっております。
民間事業者ならではの創意と工夫に溢れたご提案をいただいたと思っており、山町筋に新たな機能と魅力が加わることで、交流拡大が加速していくことを期待しています。
また、高岡御車山会館においても、一層の有効活用を図るため、新たに指定管理者制度を導入する条例改正議案も提案させていただいており、民間事業者の柔軟な発想を取り入れつつ、歴史と文化を生かした交流人口の拡大を目指して取り組んでまいります。
来年度予算につきましては、これから編成作業が本格化いたします。
令和7年度は「強い高岡」の実現に向け、震災からの復旧・復興を着実に進めながらも、未来を見据え「高岡を前へ進める」こととの両立を目指してまいります。そのために、これまで市民とともに広げ、加速させてきた「挑戦」から生まれた、ヒト・モノ・コトの「循環」が大きな環として繋がるよう、市職員一丸となって全力で支えてまいります。
そして、次の世代にしっかりとしたバトンを渡し、未来においても市民の挑戦が可能となるよう、課題を先送りすることなく、「今を生きる自分達から始める」という意識と、市民とともに心をあわせて支え合う精神のもと、将来にわたって持続可能な財政運営を目指し、決意と覚悟をもって勇進してまいります。
第二 提出議案について
次に、ただいま上程されました予算議案7件、条例議案7件、その他議案4件、報告案件2件の計20件についてご説明申し上げます。
議案第122号から第128号までは、一般会計及び特別会計の補正予算です。
補正予算の規模は、
一般会計 65億6,001万2千円の増額
特別会計 2億6,201万1千円の増額
総計 68億2,202万3千円の増額です。
今回の補正予算では、令和6年能登半島地震からの復旧・復興支援策として市独自に、空き家購入に伴う居住性の向上に必要な工事や市内へ転入する被災者の引越しに要する費用への支援を実施するほか、合併処理浄化槽の修繕に対する支援を行います。また、水道の耐震化をさらに促進するため、一部工事の前倒しを実施します。
あわせて、北陸新幹線新高岡駅開業10周年を記念するイベントの実施や生涯学習センターのZEB化検討、高岡西部中学校区小中一貫校整備に必要な事業費を確保するほか、学習専用端末の更新に向け必要な予算措置を行います。また、償還可能な市債の繰上償還を行い、将来の公債費負担の軽減を図ります。
以下、その主な内容について、ご説明申し上げます。
震災からの復旧・復興については、令和6年能登半島地震で被災した地域のコミュニティの維持、再生及び空き家の活用を促進するため、一定の基準を満たす空き家を購入し、居住性の向上に必要な工事を行った世帯に対し支援を行うほか、地震で被災した市外の方について、緊急移住支援金の終了後も市内への転入・移住を支援していくため、被災者引越支援事業を拡充し引越しに要する経費に対し補助を行います。あわせて、地震により被害を受けた合併処理浄化槽を復旧する工事についても支援を行います。また、水道の耐震化をさらに促進するため、配水管や配水場の耐震化工事を前倒して実施します。
次に、令和7年3月に北陸新幹線新高岡駅が開業10周年を迎えることから、その節目を祝うとともに、北陸新幹線や新高岡駅をさらに身近に感じていただき、さらなる交流拡大と新高岡駅の利用促進に繋げるため、「新幹線まちづくり推進高岡市民会議」が実施する記念イベントに支援を行います。
加えて、令和6年10月4日から開始した「高岡古城公園 景観再生プロジェクト2024」へご支援いただいた寄附金を活用させていただき、樹木整理を前倒して実施し、高岡古城公園樹木管理行動計画の推進を図るほか、高岡西部中学校区小中一貫校の校舎増築工事や小中学生の1人1台学習専用端末を更新するための予算措置を行います。
さらに、脱炭素先行地域内のウイング・ウイング高岡について、ZEB化を目指すにあたり、施設の管理・運営事業者が実施する「省エネ診断」に対し、生涯学習センター部分にかかる費用を計上します。
そのほか、過去に借り入れた市債の一部について繰上償還を実施するとともに、借入時の契約に基づき借り換えを行います。
続きまして、議案第129号から第139号までの条例その他議案について申し上げます。
条例議案につきましては、書かないワンストップ窓口導入に伴い、市役所窓口全体での本人確認手続等の運用の統一を図る中で、印鑑登録に関する手続の所要の改正を行う高岡市印鑑条例の一部を改正する条例など、7件を提案しております。
その他議案につきましては、下伏間江福田線立体交差整備二期工事に係る工事請負契約の締結など、4件を提案しております。
報告案件2件につきましては、専決処分に係るもので、去る10月27日執行の衆議院議員総選挙、最高裁判所裁判官国民審査及び富山県議会議員補欠選挙に係る経費について補正予算措置を講じたものです。
以上、提出いたしました諸案件についてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議の上、よろしくご賛同賜りますようお願い申し上げます。
更新日:2024年12月02日