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更新日:2020年9月7日
令和二年九月定例会の開会にあたり、提案理由の説明に先立ちまして、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げます。
初めに、今年は、昨日来の台風十号をはじめ、各地で災害が相次ぎました。九州、中部地方などにおける大雨により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。激甚化する自然災害に対して、早期避難を促すための避難情報の発令・警戒避難体制の見直しやコロナ禍における避難所運営など、これまでに得られた教訓を生かしていくことが重要であります。本市では、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所運営マニュアルを策定いたしました。今月にはそのマニュアルに則った市職員による避難所運営訓練を行う予定であります。また、来月には新しい防災センターが供用開始されます。これらの取り組みを通じ、今後とも市民の安全確保に努め、災害への備えの万全を期してまいります。
さて、先日、安倍内閣総理大臣が辞任の意向を示されました。歴代最長となった在任中、東日本大震災からの復興やアベノミクスによる経済再生、地方創生の推進など、多くの困難な課題に全力を尽くされてきたことに敬意を表します。また、新たに発足する内閣におかれては、直面する緊急の課題に的確に対応することはもとより、ポストコロナの時代において国民一人ひとりが未来を見据えて進んでいくことができる日本社会を実現するとともに、人口減少社会を克服する地方創生の実を挙げるため、更なる地方との連携に努めていただくようお願いしたいと思います。
七月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太方針」では、国民の生命・生活・雇用・事業を守り抜くための「ウィズコロナ」の経済戦略や「新たな日常」の実現などが掲げられました。コロナ禍の経験は、本市としても、東京一極集中の是正やデジタルトランスフォーメーションによる社会の変革を進めていく大きなきっかけになるものと考えております。
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
地方圏を含め全国的に感染の拡がりがみられる中、先月には本県において新型コロナウイルス感染拡大警報「富山アラート」が発出されました。本市としては、市民病院において発熱外来を拡充し診療室を敷地内に新設するなど、医療提供体制の拡充を進めているところであります。市民の皆様には、引き続き、感染予防のため緊張感を持った行動を心がけていただくよう、改めてお願いいたします。
このような中、本市においては新型コロナウイルスの感染症拡大を受けて、これまで多くのイベントが中止や自粛を余儀なくされております。一方で、「新たな日常」の実現に向けて、「高校生万葉短歌バトル」をオンライン開催としたほか、「万葉集全二十巻朗唱の会」では、映像・インターネット環境を活用した形を試みたことで、海外からの参加を含め、これまでなかった多くの方々の応募がありました。このように、新しい視点での取り組みが進められていることを心強く存じております。
今後、新型コロナウイルスの感染状況やその対策について、各方面で検証作業が進められていくものと存じますが、これらを踏まえ、ポストコロナの時代のあり様に的確に対応していかなければなりません。私自身も県で設置されたアフターコロナ会議に委員として参加するなど、県や各種団体とも連携を図りながら、移住定住施策の推進や行政のデジタル化などを加速させてまいりたいと存じます。
次に、財政健全化に向けた取り組みについてであります。
令和元年度の決算は、財政健全化へ向けたこれまでの成果に加え、降雪が少なかったことなどにより、黒字となる見込みであります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、全国的に経済活動が停滞し今後の歳入確保が厳しい状況になると見込まれます。さらに、学校再編や高齢者福祉に要する経費の増加など将来の財政需要に備える必要があります。これらを勘案し、決算剰余金のうち十二億円を財政調整基金と減債基金に積み立てることといたしました。引き続き、財政健全化緊急プログラムに掲げる目標達成に向け、取り組んでまいります。
令和三年度の予算編成は、歳入歳出両面から大変厳しいものになると見込まれます。このため七月中旬から八月末にかけて、夏季政策調整協議「サマーレビュー」を実施し、今後の財政見通しのもと、各部局の重点課題に係る方向性などについて協議を重ねてきたところであります。引き続き持続可能な財政運営に努めてまいります。
次に、地域経済の再生支援についてであります。
先月発表された県の経済情勢報告では、県内の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いているものの、個人消費など一部に持ち直しの動きがみられるとされました。しかしながら雇用情勢については、有効求人倍率が前年度同時期と比較して大きく減少しており、引き続き経済対策に取り組むことが必要であります。
このような状況の下、国においてはGoToトラベルキャンペーンが展開されており、本市でも、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、「高岡に泊まろう!宿泊応援キャンペーン」や飛越能地域への「バスでお得に往復キャンペーン」を実施しております。さらに、民間消費を呼び戻すため「消費活性化対策キャッシュレス還元事業」を推進するなど、地域経済の活性化を図っているところであります。引き続き、経済界と連携を密に、地域の経済動向に即応して、必要な対策を実施してまいります。
高岡大和の撤退から一年を経過した御旅屋セリオについては、この間、商業・飲食テナントの入居のほか、eスポーツの拠点やこども広場などが順次オープンし、十月には高岡地域地場産業センターが移転オープンいたします。「展示販売」や「ものづくり体験」の機能に加え、コロナ禍の販路開拓を後押しするための商品の写真や動画を撮影できるスタジオ「ST@R-ZIBA」が開設されます。さらに、年内には、県消費生活センター高岡支所の移転やカフェの新規オープンも予定されております。これらの機能が相乗的に働き合って、新たな賑わいを生み出し、御旅屋セリオはもとより、中心市街地の核としてまち全体に活力が生まれるよう官民を挙げて推進してまいります。
また、高岡駅前東地区では、今月中に新たなマンションの完成が予定されるほか、近接して、新たな民間複合ビルが今年度内に事業着手し、令和五年度の完成を目指していると伺っております。これらの民間主導のまちづくりの動きを最大限に活かし、地域経済の再生を加速させてまいります。
次に、教育将来構想の推進による教育改革についてであります。
ICT教育については、教育委員会と慶應義塾大学SFC研究所との間で、情報通信技術を活用した教育充実を図るべく連携協力協定を六月に締結しました。これまでの遠隔教育の実践を通じて培った連携・協力をさらに発展させてまいりたいと考えております。また七月には、国吉義務教育学校の生徒が、台湾の中学生とインターネットを通じて英語での遠隔交流学習を実施しました。
小中学校の児童・生徒への一人一台のタブレット端末整備については、予定を前倒しして年内には配備する予定であり、合わせて通信回線の強化を進めてまいります。これらを通じGIGAスクール構想に基づく、一人ひとりの個性や能力に応じた学びが実現するよう、取り組みを加速してまいりたいと存じます。
次に、新たな総合計画の策定と広域連携についてであります。
総合計画第四次基本計画の策定について、七月に総合計画審議会に諮問し、今月初めには産業・文化・交流部会、ひとづくり部会、安全・安心部会の三つの専門部会を開催し、本格的な議論をスタートしたところであります。
人口減少・少子高齢化が進行する中で、これまで築いてきた「都市の強み」や、磨き上げてきた「まちの魅力」を活かしていくのは、このまちに暮らす「ひと」であるとの考えのもと、令和四年度から始まる次期総合計画基本計画では、「ひとの力」に焦点を当てていくこととしております。一人ひとりの市民、事業者の個性や能力などの「ひとの力」を引き出し、これらをつなぐことで生まれる「地域の力」によって、将来にわたって持続可能で進化し続けるまちの実現を目指してまいります。
また、策定にあたっては、次世代技術の活用によるSociety5.0の実現やSDGsを原動力とした地方創生の推進など、時代の潮流を積極的に取り込んでまいりたいと考えております。
次に、とやま呉西圏域都市圏ビジョンの推進についてであります。先月、関係者や有識者による呉西圏域ビジョン懇談会を開催し、第二期都市圏ビジョンの原案についてご議論いただきました。第二期では、これまでの五年間で醸成された連携の成果を踏まえ、圏域のつながりの強化に重点を置いた、新たなファイブスタープロジェクトをご提案しております。引き続き、今年度末の策定に向け、次期ビジョンの五年間で取り組む事業や予算の検討、事業による成果目標の設定などについて六市で協議を進めてまいります。また本市としても、圏域が将来にわたり更なる活力の向上を図ることができるよう、コロナ禍に対応した新たな日常の実現も念頭に置き、ICT等を積極的に取り入れ、圏域の目標達成に向けた施策を展開してまいりたいと存じます。
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